studies

美的判断とは何か?@修士論文プロスペクト

先日終えたコロキウムでの発表について、簡単に紹介と今後の計画をメモ。 修士論文自体は「音楽の美的判断(仮)」という壮大なテーマを描いているものの、現時点では音楽そのもののことにはまだ触れられず、現代的な美的判断論のまとめに終始するので精一杯…

ロックとパンクの間

パンク・ロック/ハードコア史行川 和彦 読了。初心に戻ってパンク/ハードコアに再入門! この本のいいところは、アメリカ、イギリスと日本でのシーンのつながりを重視しているところと、音楽以外のパンク/ハードコアの思想面の話題をしっかり記述している…

進化論から見た音楽3(または音楽に関する認知科学、進化心理学とかの研究とか)

とりあえず以下を読了。 音楽の生存価―survival value of the music福井 一 歌うネアンデルタール―音楽と言語から見るヒトの進化スティーヴン ミズン Steven Mithen 熊谷 淳子 福井氏は音楽を自然科学的アプローチによって探求する「音楽行動論」を提唱する…

考え中

認知系の音楽の議論などを読みながら、自分の修論の行く末を見つめているところです。しばし、待たれよ。

進化論から見た音楽2

http://d.hatena.ne.jp/shinimai/20070430/p1のつづき 関連文献とか調べてみる。 音楽人類学、民族音楽学 進化論ではないが、音楽の普遍性とかに関する議論ではまず参照されるのが音楽人類学。 Anthropology of MusicAlan P. Merriam これは訳書があるが、絶…

進化論から見た音楽

今年の渡辺ゼミは以下の論集を読むことになった。 The Cultural Study of Music: A Critical IntroductionMartin Clayton Trevor Herbert Richard Middleton タイトルが「The Cultural Study」となっているところがポイントだ。「文化社会学」じゃなくて「文化の…

趣味の読書?

直接研究とは関わりがない読書。 ゲーム的リアリズムの誕生~動物化するポストモダン2東 浩紀 はてなでも話題だと思われるこの本。 基本的に『動物化するポストモダン』よりも非常に読みやすくなっているというか、無駄に現代思想のお話を繋げないところが前…

三度「美的判断」について

もうオリジナルの議論からはほとんど離れてしまったが、まだまだ「美的判断」について書くことがあるから困ったものだ。いい加減にしたいところではあるが、やはりこれは美学の根幹にかかわるから書かないわけにいかない。とりあえず語り口をぬるくして続け…

現代(の)美学を大いに盛り上げる人たちの団1回目:「美的判断」(in SEP):続きの続き

前々回(http://d.hatena.ne.jp/shinimai/20070413/p1) 前回(http://d.hatena.ne.jp/shinimai/20070417/p1) いー加減このエントリを終らせたいのでザクっといく。スターンフォード哲学百科事典(http://plato.stanford.edu/)からNick Zangwillによる‘Aesthet…

現代(の)美学を大いに盛り上げる人たちの団1回目:「美的判断」(in SEP):続き

前回:http://d.hatena.ne.jp/shinimai/20070413/p1 ‘Aesthetic Judgment'(http://plato.stanford.edu/entries/aesthetic-judgment/)by Nick Zangwill 1.0 趣味判断 1.1 主観性 1.2 規範性 1.3 規範性の改定 1.4 規範性と快 1.5 趣味判断と大きな問題2.0 美…

現代(の)美学を大いに盛り上げる人たちの団1回目:「美的判断」(in SEP)

このようにふざけた名前ですが、まっとうな勉強会です。 今回は私がスターンフォード哲学百科事典(http://plato.stanford.edu/)からNick Zangwillによる‘Aesthetic Judgment'(http://plato.stanford.edu/entries/aesthetic-judgment/)の項目を担当しました…

フレーゲ「意義と意味について」

たぶんコレに入ってる。 フレーゲ著作集〈4〉哲学論集G. フレーゲ 黒田 亘 野本 和幸 紹介の必要さえない超古典、言語哲学のオールドスクールかつマスターピース!昔、教養学部の授業で原文をすこし読んだりしたので、新たな発見はないかと思ってたけど、読…

勉強会第0回から団の結成まで

以前から構想していた勉強会の準備会を行った。思ってた以上に参加者が乗り気でよかった。名称は仮ではあるが、ひょんなことから団を名乗ることになった(笑)。そのうち研究会、学会へと昇格するつもり(たぶん)。 ネットでの活動にセンシティヴな団員もい…

読書でしょでしょ!

タイトルは特に意味がない。このところ読んだ本について。 チョムスキー入門 生成文法の謎を解く町田 健 認知脳科学から言語学への関心の高まり(要するにマイブーム)と、http://d.hatena.ne.jp/taninen/20061212/p1で紹介されてたこともあったので読んだ。…

聴覚文化研究会での発表

http://d.hatena.ne.jp/taninen/20070327/p1 今年度最後の研究会で発表させてもらいました。何はともあれ、一年間これだけ熱心にみなさんで集うことができたのは本当にすごいことでしょう。このまま学会にまで成長させよう! で私の発表はというと基本的に大…

帰省先の本棚

帰省して実家にいるときはやはりちゃんと勉強する気にはならない。結局親父の本棚を覗いて濫読してしまう。それにしても話題の人文書ならなんでもある親父の本棚はエライというかミーハーというか。たまに同じ本を買ってるときがあって人知れず赤面すること…

最先端の言語学

えー先日に引き続いてピンカーの本を読了。 言語を生みだす本能〈上〉スティーブン ピンカー Steven Pinker 椋田 直子 言語を生みだす本能〈下〉スティーブン ピンカー Steven Pinker 椋田 直子 今回は言語プロパーのお話だから少々専門的ではあった。お話の…

教養とか、教養かと

学校が休みの期間になったので、自分の研究分野の外堀を埋める読書。 人間の本性を考える ~心は「空白の石版」か (上)スティーブン・ピンカー 山下 篤子 人間の本性を考える ~心は「空白の石版」か (中)スティーブン・ピンカー 山下 篤子 人間の本性を考える…

Peter Kivy‘Sibley's Lasr Paper’の要約と音楽理論の理解とその意味

Aesthetic Concepts: Essays After SibleyEmily Brady Jerrold Levinson に収められているPeter KivyのSibley's Lasr Paperを読了。 ピーター・キーヴィについてはhttp://philosophy.rutgers.edu/FACSTAFF/BIOS/kivy.htmlを参照。 この論文はシブレイへのト…

教養的読書

こういう人生を歩んでいると読書が楽しみなのか勉強なのか学問なのかわからなくなってくる。ひょんなことで学問の世界と関係のない職業に就職したら、自分はおそらく読書をしなくなるんじゃないのかって想像する。ゲームとかばっかやりそうだな。そういう意…

日本の広告、音楽、芸能界

えーはてなで大変に話題になっている タイアップの歌謡史速水 健朗 を読みました。ブログでの言及が非常に多いのは、この本自体がステルス・マーケティングしているんじゃないかって疑っているほどです(笑)。というか著者自身がこれほどウェブで売り込んで…

コロキウム研究発表と最近読んだもの

どうにか終わった。一年の研究のとりあえずのまとめとしたが、それなりに修論への道が見えてきた。 発表内容は音楽のジャンルを言語分析的に扱ったものでありますが、いろんな人に読んでもらいたいので、加筆、修正して各方面にメールしますのでよろしく。 …

Frank Sibley‘Making Music Our Own’From Interpretation in Music, ed. Michael Krausz, Oxford: Clarendon Press, 1993.

Approach to Aesthetics: Collected Papers on Philosophical AestheticsFrank Sibley John Benson Betty Redfern に収録の第11章。「音楽を自ら自身のものにすること」とでも訳せばいいか。シブレイが音楽を論じた重要な論文である。ただその語り口はちょっ…

Frank Sibley‘Particularity, Art, and Evaluation’From Proceedings of the Aristotelian Society, Supplementary Vol. 48 (1974)の要旨(前半)

Approach to Aesthetics: Collected Papers on Philosophical AestheticsFrank Sibley John Benson Betty Redfern に収められている第7章。これはフランク・シブレイの後期の代表的な論文であり、彼の美的概念(aesthetic concepts)の議論をより洗練させ、…

やっとこさ買って読んだ

長い間購入予定リストにあがっていながら後回しにしていましたが、ようやく買って読みました。 聴衆をつくる―音楽批評の解体文法増田 聡 装丁かっこいいですね、青土社ってかんじ。 えー増田さんの論文はほぼ目を通しているので基本的な内容は読んだことのあ…

ジャンルと音楽産業――ポピュラー音楽学におけるジャンル論の簡単な(いい加減な)まとめ3

この問題に関して一番重要な文献はこれだと思う。 Music Genres and Corporate CulturesKeith Negus タイトルからしてズバリなんだが、だがまだ読んない。だからここではとりあえずこれまでの産業論でジャンルがどのように扱われてきたかを大雑把にまとめる。…

ジャンルとアイデンティティ――ポピュラー音楽学におけるジャンル論の簡単な(いい加減な)まとめ2+

前回が長くなってしまったので、今回はアイデンティティの問題、とくにジェンダー、セクシャリティとジェンルの関係についての研究をざっと補足しておきます。アイデンティティはカルスタ、ポスコロとかの中心問題であるんで、理論的蓄積とか周辺の議論が込…

ジャンルとアイデンティティ――ポピュラー音楽学におけるジャンル論の簡単な(いい加減な)まとめ2

前回はジェイソン・トインビーポピュラー音楽をつくる―ミュージシャン・創造性・制度からジャンルと創造性についてごく簡単にまとめたが、今回はジャンルとアイデンティティについて簡単にまとめたいと思う。この問題は主にオーディエンス研究において探求さ…

著作権保護期間の延長問題を考える国民会議・第一回シンポジウム

今話題のこのイベントに行って来ましたー。国民会議ってなんかすごいね、フランス革命みたいね。ってのはともかくボランティアのスタッフの方々、本当にお疲れ様です。こんなに面白いシンポジウムはあまり見たことないよ。学会とかのシンポジウムよりはるか…

ポピュラー音楽学におけるジャンル論の簡単な(いい加減な)まとめ、というかメモ

自分の研究発表を控え、ポピュラー音楽学においてジャンルという問題はどのように論じられているかを、とりあえず日本語で読めるものでチェック。自分は現代の言語哲学系の美学の議論において、このポピュラー音楽におけるジャンルという問題をどう扱えるの…