進化論から見た音楽2

http://d.hatena.ne.jp/shinimai/20070430/p1のつづき
関連文献とか調べてみる。

音楽人類学、民族音楽学

進化論ではないが、音楽の普遍性とかに関する議論ではまず参照されるのが音楽人類学。
Anthropology of Music
Alan P. Merriam
0810106078

これは訳書があるが、絶版らしい。
人間の音楽性 (1978年)
徳丸 吉彦
B000J8KCXS

ジョン・ブラッキング“How musical is man?”の訳書。
鳥になった少年―カルリ社会における音・神話・象徴
ティーブン フェルド 山口 修 卜田 隆嗣
4582744109

フェルドの有名な本。これは音楽の普遍性というより多様性の観点。
正直、音楽人類学と民族音楽学の違いがよく分からない。すげーいい加減な感じでいうと、前者が音楽の普遍性に焦点を当て、後者が音楽の多様性に焦点を当てているような気もする。まあどちらにしろ、進化論的なビックウェーヴに晒されることになるジャンルだ。

進化論

心の仕組み~人間関係にどう関わるか〈上〉
スティーブン・ピンカー 椋田 直子
4140019700

ピンカーの音楽に関する言及はおそらくこの本に載っていると思われ。
恋人選びの心―性淘汰と人間性の進化 (1)
ジェフリー・F.ミラー 長谷川 真理子
4000228234

音楽は配偶者選びに関わるというジェフリー・F.ミラーの本。タイトルだけ見ると胡散臭い本に感じられるが、長谷川真理子先生が訳しているのでまあ安心。
両者とも進化論の観点から人間の文化に関わる大きなことを言っているが、大風呂敷広げすぎだと思われる。音楽に関しての進化論的見方に関しては、西洋のクラシック的な音楽観を前提としているためにダメ。
で、現在では高度に文化的に成熟した音楽文化を研究するのではなく、幼児期の音楽的行動を進化論的にアプローチするのが主流っぽい。
ちなみに日本ではこのような本が。
音楽の生存価―survival value of the music
福井 一
4276122643

上述のピンカーやミラーの説を踏まえながら、進化における音楽の価値――生存価に迫った本らしい。さらにモーツァルトでおいしいワインがどうこうとか、α派がどうこうとかいう音楽の擬似科学を滅多切りらしい。頼もしい、なぜ東大の図書館にないのか。
歌うネアンデルタール―音楽と言語から見るヒトの進化
ティーヴン ミズン Steven Mithen 熊谷 淳子
4152087390

surroundさんに教えてもらった本。
心の先史時代
ティーヴン ミズン Steven Mithen 松浦 俊輔
4791756533

こちらも訳がある。

文化理論と進化論

前のエントリでのいい加減な要約には書かなかったが、 Ian Cross‘Music and Bio-cultural Evolution’の最後の方に文化理論と進化論の関係が述べられていて興味深い。
「音楽は遺伝子―文化共進化(gene-culture coevolution)の複雑な過程の産物である」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%8C%E9%87%8D%E7%9B%B8%E7%B6%9A%E7%90%86%E8%AB%96
あたりに関係すると思われる。