最近読んだりしたもん

細かい感想とかはともかく記録用として
美学綱要
Benedetto Croce 細井 雄介
4805505753

クローチェの美学についてなんも知らんので、とりあえず日本語で読めるというやつ。これは最近、出版されたあたらしい訳で読みやすかった。とはいえ、19世紀の哲学が苦手な自分にとって(というかヘーゲル。。。)多少、わけのわからんともあったです。クーロチェの美学は、20世紀初頭に日本に輸入されたが、そのあとあんまり研究されてきてなかったけど、最近またイタリア現代思想というくくりで流行ってるみたいですね。過去の美学や批評をばさり、ばさりと切っていく姿は小林秀雄の『様々な意匠』にも似た(というか小林がクローチェの影響を受けているのではと勘ぐっているのだが)元祖立ち位置系の美学ってカンジでした。他の美学を批判するためのまとめは美学史を勉強したい人には結構参考になるけど、レトリックと皮肉に効いた文章を理解するにはかなりの教養を必要とするだろう。まあそういう美学史として読めばわかりやすいんだけど、他の美学を批判して自らの美学の学説を主張するにあたってやっぱわからん方向に行くのだよな。そこらへんが弁証法的といえば、弁証法的なんだが。
魔剣X Another Jack 1 (BEAM COMIX)
林田 球
4757746121

魔剣X Another Jack 2 (BEAM COMIX)
林田 球
475774613X

次はこれ、ご存知ドロヘドロ林田球の過去の作品のリイシュー。ドロヘドロも最新刊まで友達から借りて読んだけど、これもその友達が貸してくれた。これはもともと魔剣Xっていうゲームのコミカライズなんだけど、林田球という作家の出発点になっただろう作品です。コミカライズとは言え、彼女がドロヘドロで書きたいモチーフが様々な形で現れていて面白い。作品そのものの出来としてはそこまでのものではないけど。
具体的にその独特なモチーフを指摘すると、デ・キリコ的な空間にいる人影と不安感、ドロドロとした人間の内臓、ジャンプマンガ的な友情やバトルってとこかな。特に最初のデ・キリコ的な不穏な空間についてはドロヘドロのカイマンの回想などで何度も出てきている。人が少ない廃墟のような建物の中で、コントラストの強い影があり、過度な遠近法によって歪んだ空間、そして人物が消失点の近くに配置してなにやら不気味なイメージ。このモチーフのためにドロヘドロが書かれたといってもいいではないかと思うくらい、これは彼女の作品を作るさいの原風景なんだと思う。
ドロヘドロにもあるギャグ的な表現も多々あったけど、これはいまいち成功していない。笑うとこなのか、なんなのかよくわからないコマが結構あった。まあそれでも林田球好きにはマストな二冊だと思う。

方法序説 (岩波文庫)
Ren´e Descartes 谷川 多佳子
4003361318

あとこれ。なんとなく昔、古本屋で買ったやつを風呂入りながらちょこちょこ読んだ。デカルト入門としては簡単でわかりやすい一冊。デカルトの自分史的な部分がやたらと面白い。とりあえず宗教には敬意払っておこうね、とりあえず世間のなみに揉まれようね、そして一人でひきこもって哲学しました、てなカンジ。途中、解剖学に関する議論が出てきてどうでもええねんと思ったけど、そういう議論が哲学的に重要であった時代だなーと実感しました。
デカルトっていうと懐疑論で有名なところがあるけど、彼は方法的懐疑論に入るまえにいろいろ世間の人の言うことを聞いてきたということを忘れてはならない。やっぱり一人で考えるだけじゃだめなんだよ。あと意外と哲学って常識的なことをやる学問だと再認識した。まあ結論とか、議論の流れは常識的ではないけどね。