コミケ(同人誌即売会)とロックフェスとかコンプライアンスと文化

今年の夏はたまたまコミケというものに初めて足を運んだけど、それなりにカルチャー・ショックだった。そのことをいまさらながら書く。
まず第一に年齢確認的なレイティングが全く無いこと。これほど大きなイベントでさすがにどうかと思う。最近、東京都が管理している施設で行われたイベントでは成人向けスペースが仕切られて制限されていたらしいけど、そっちの方が例外みたい。 オタクの大人たちの多くがどう考えているのか分からないけど、自分たちの趣味を社会的に公認されたものとして扱ってもらいたいなら、文化内でのコンプライアンスを高める必要があると思う。もちろん、アングラ的にやりたいんだよって人は別にそれでいいけど、それならコソコソしなければならない。コソコソしたくないのなら、その辺をうまく解決する必要がある。
その点、ロックフェスは昔はかなり社会的なイメージが悪かったけど、今では新聞で夏の風物詩として扱われるほど、社会的に認められている。社会的に認められることを、「文化の馴致化」みたいな文脈で批判する人も多いが、何もそれ自体悪いことではない。ある文化(この場合をサブ・カルチャー)が安定して成立するには、法的な正当化が必要な場合だってある。
グラフィティーとかスケボーとか 脱法行為をその文化の美学として考えているような文化もあるが、そういう議論はなんだかよくわからん。確かに「やりたいこと」ができないことはいやだが、「していけないこと」がやりたいわけではないだろって。普通に壁に落書きしたいし、普通に町をスケボーで遊びたいのはわかる。でも、それはそれ自身の快楽や楽しみのためにあって、脱法行為自体が楽しいわけじゃないだろ。そういう文化をその違法性ゆえに賞賛するような議論を見るとアホらしくなる(そして賞賛する人自身がその文化的行為を楽しんでいるわけではなかったりするとなおさら)。
あとコミケについては会場が基本的に撮影禁止であることが驚いた。ロックフェスとかは普通に写真取り捲りだし(アーティストの写真はモチロンNGだったりするけど)、それが普通と思っていた。やはり顔バレしたりするのが怖いからだろうか?まあコミケはお客として来ている人だけじゃなくて、サークル参加している人がいるのでなんとなくわかる。サークル参加=アーティストと考えると撮っちゃダメだよね、とか。
もう一つ気になった点としては、やっぱ家族連れとかいないんですね(笑)。ロックフェスは近頃では家族でのんびりと楽しみに来る人は珍しくない。まあ普通に考えて、あんな人ごみでいろんな意味でアツイ屋内空間に子供をつれてきたりする人はいないとは思う。でもここらへん、ポピュラー音楽文化とオタク文化の結構な差異に感じた。でも時代はどう転ぶかわからないから、そのうちオタ夫婦で子供にコスプレしている家族が来るコミケのようなイベントとかができるかもしれない。そのときには、さすがに年齢のレイティング問題は解消していなければならない。でもそれって要するにポケモン・スタンプラリーとかのイベントみたいになるよね。
うーむ、やっぱりそうすると文化内の性的表現の問題は結構大きな壁だなー。