最近の読書

凍結中にも読書は少ししたけど、それはまた書くとして、元気になってから読んだものをメモっとく。
フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略
小林弘人
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ダンコガイの推薦帯とかあるから、俺がここでどう紹介しようともう有名な本だ。基本的にはビジネス本なんだと思うけど、非常に読みやすく、かつ内容もウィットに富んで面白かった。「無料からいかに金を稼ぐか?」という問いだけではなく、「現代において労働、仕事とは何か?」という問いも射程に入る本なので、とてもよかった。そう、こうしてブログを書くことも、金はもらえないかもしれないが、ネットの世界に情報を付与しているという意味では仕事だといってもいいとか。ビット経済とアトム経済という考え方もいろいろと使いようがありそうだ。特に私の興味の音楽の場合、ほぼ完全にビット経済になっているので、音楽そのものから金を得ようというビジネスは基本的に破綻することになる。本にもあるとおり、多くのミュージシャンはライブ興行による収益を重視するようになっているとはいえ、それはビッグアーティストの場合だけであり、我々のようなアマチュア楽家は真似できない。しかしながら、以前に比べ、素人の音源がいろんな人に聞かれる機会は多くなったので、考え方次第では今後、インディーやアマチュア楽家をうまく利用したビジネスチャンスがあるだろう。

アフロ・ディズニー
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次はこれ、たまたま友人が読書会?をやってたのをなぜか土壇場で参加して興味を持った本。
実のところ菊地成孔の著作をちゃんと読んだことなかった。読もう読もうとは思ってた。これを最初に読んだのは失敗だったかもしれない。読書会の話を聞く限り、基本的に大風呂敷を広げている本であり、眉唾して読もうと思ったが、まあ基本的にやっぱ眉唾であった(特に前書きでソーカル事件を「ブルースメンにクラシックの作曲家が『音程がズレてますよ』と言っている様な物だと個人的には思うのだが」と書くあたり、聞き捨てならない。そのレベルであの事件を理解してもらっては困ると思う。)。が、それでも菊地と大谷による講義は非常に知識に富むものであることはたしかで、まあ文化講座的な扱いとして大学にあってもいいと思う。本当に二人とも研究者とかではないのに、よく知っている、よく勉強しているんだなって思った。個人的にはビルボードの会社の由来あたりは知らなかったので、勉強になった。
しかし、それでもこういうのが人文系の授業だと思われるのは困るな。発達学と映画の発展をパラレルにみるあたりは、自ら言及しているとおり疑似科学というか飲み屋でする話でしかないと思う。あと「幼児的」というタームを揶揄なのか、なんなのか分からないようにして使うあたりは逆に幼児的なんじゃないかと。このへんは変に控えめにならず、菊地・大谷が理想とする文化の有り方を積極的に語って欲しかった。
あと下方倍音列の話は楽理がわかんねえから、ついてけねえーってカンジなった。楽理すこしは勉強したいけど、めんどいな。次は官能と憂鬱の本読もう。