伝説のエンターテイメントユニット「THEパーティー」を紹介しよう。

最近はまったく音楽活動は中止していた私ですが、過去の活動を振り返って結構、がんばったんだなと自負を感じている、勝手に。まったく商業的なことをしなかったけど、それでも面白いイベントをやってきたし、関わってきた他のバンド、アーティストも重要だったなと自分で歴史を正当化している(笑)。
なかでも私にとってTHEパーティーの存在は大きい。それこそ彼らに会うことで、私の音楽概念はぶっ壊されたし、軽くアイデンティティ・クライシスになった。だけど、そこから得たものは計り知れず大きい。で、今回は彼らの活動をリアルタイムで見てきた私がはてなの皆さんに紹介しようと思う。

彼らの活動は不定期で、みんな本職を別に持っているから現在は何しているかわからない。とりあえずウェブサイトを張っておくが、現在は更新されていない。
http://bakagundan.org/
簡単にどういうユニットかというのは以下のyoutubeを見て欲しい。


なんというかジョージ・クリントンのPファンクを完全に日本化したわけのわからんユニットだと思ってくれれば間違いない。音楽的には拙いところもあるけど、ライブ・パフォーマンスはもう完璧なエンターテイメントでどのような人も楽しめる。ゲーム音楽、歌謡曲、ロックなどの音楽スタイルを完全にテキトーに咀嚼して、新しい文脈におく。基本的にオタクなカルチャーに近いのも特徴だ。筑波という独特な風土からかもし出されるローカリティも重要だ。後者の動画でもわかるとおり、彼らは天下一品をソウルフードとして愛している(笑)

まず彼らとの出会いについてちょっとだけ自分がたりさせてもらう。僕は東京に出来てno-thanschockというライブを数回やっていたんだけど*1、たまたま高校時代の友人に誘われて、筑波大学でのイベントに出演したのだ。そのイベントはまあただの学生の内輪ノリのイベントなんだったけど、僕らの出演の前に、THEパーティーの前身であるアンビリーバブルというグループのとんでもないパフォーマンスを見せ付けられたのであった。なんというかジャガーさんのイロモノギター大会に間違って素で参加しちゃったみたいな感じのヤバサを経験した僕たちは、本気で自らの音楽の方向性を考えることになった。
具体的にどんなパフォーマンスだったかは、映像資料とか残ってないから伝えるのは難しい。とりあえず気になった点を列挙してみるw大体10人くらいの人がアンビリーバブルに参加していたと思う。

  • 会場におやつをばら撒く。
  • パイナップルをでかいフォーク(等身大)でブッ指す。もちろん汁が床にドヴァーwww
  • 演奏中にキャッチボールをはじめる。
  • ライブ最中にたこ焼きを作る。
  • ライブ中にずっとテレビでゲームしている人がいる(HobbyJ)。曲間の静かなときにズキューン、ズキューンというSEが聞こえるww
  • 「バビロンをぶっ潰せー」などのサブカルアジテーションのパロディー
  • 「ハイスタ解散を記念して」といってメロコアをやるんだが、まだ解散していないwww

ともかくわけのわからんテンションで客を巻き込むパフォーマンスだった。そしてフロントマンのブラックマグマのMC、ラップ、ギター演奏はかなりのクオリティーだったし、カリスマのtacktさまの圧倒的な存在感。プリンビーなどのユニット内ユニット。ともかく客を飽きさせないことだけは間違いない。


そんな未体験ゾーンに踏み入れた僕らのバンドはその後、完全に音楽性がわけのわからんものに変容して、結局、バンドメンバーも3人から7人までに増えてしまった。その後、彼らはTHEパーティーと名前を変えて、東京やいろいろな場所で散発的な活動をやるが、何度か僕らのイベント残響祭*2

最近では筑波大学の新歓のイベントでは毎回出演しているみたいである。以下、サンプルとして動画をあげときます。

彼らの活動については未だまっとうな批評にあったことがない。私もここで彼らを上手く評することはできないが、以下の点において彼らの活動の意義を考えたいと思う。

  1. サンプリングとかそういう問題以前の剽窃的創造行為
  2. 時事ネタを織り交ぜる政治性、演劇性
  3. 人海戦術における圧倒的なエンターテイメント
  4. 日本のサブカルチャーに対する批評性

1に関しては聞いてもらえばわかると思うけど、彼らの音楽の半分くらいは既存の楽曲をほとんどそのまま(場合によっては加工して)流した上で、新しい歌詞とメロディー、パフォーマンスを付け加えている。使用楽曲はゲーム音楽であったりビジュアル系であったり様々だけど、その文脈を脱臼させるようなパフォーマンスであることがほとんどで、笑いを誘うのと同時に批評性を感じる。中でもtacktさまの「背徳に背いて」という名曲があって、これはなんかビジュアル系の曲をカラオケで再生したものの上に、新たな歌詞を付け加えてパフォーマンスするという非常に面白いものだ。ライブでtacktさまを見たものは圧倒されるだろう(そもそも「背徳に背いて」というタイトルだけですごいんだがww)。
2については毎回ライブにはある程度のテーマがある。場合によっては非常に演劇的なものだったりするけど、たいていはその時代を反映したネタを持ってくることが多い。ブレヒトのようなものと考えてもらっても良い。わざわざ以下のようなビデオを作ってライブ前に上映したりもする。

3は言うまでもないことだが、ともかく圧倒的な人海戦術、場合によっては20人くらいのメンバーがステージだけじゃなくてフロアにもいて、誰が客で誰がアーティストかわからなくさせる。キャッチボールとかはじめると観客にもボールを投げるし、料理をして食べさせてくれることもある(笑)。さらに様々なユニット内ユニットが存在して、それぞれ非常に楽しませてくれる。
4はそんなユニット内ユニットでも伺われることだが、THEパーティーの中には「秋葉隊」とか「ワルがき隊」というユニットがあって、前者は名前は失念したが、二次オタに関するラップであり、後者は「ハウマッチ万引き」というジャニ系パロディを演奏するユニットだ。さらに彼らのアルバムは『アホ盤』『バカ盤』というビートルズの赤盤、青盤を模したものになっている*3。90年代後半からある日本の歌謡曲の捉えなおし的な楽曲もあり、ゲーム音楽、それこそチップチューン的な楽曲、さらにオタクサブカルチャーをフィーチャーしたパフォーマンス、それこそなんでもありの圧倒的なエンターテイメントである。
以上、うまく説明できないけど、彼らの功績はおそらく10年後、20年後に再評価されるものだと思っている。だから今のうちライブがあったら見ておいたほうがいいよ。次回いつあるかわからないけど。
気になった人はミクシのコミュをチェックせよ!!!http://mixi.jp/view_community.pl?id=329568

あと過去の我々のイベントについてはhttp://d.hatena.ne.jp/shinimai/20050913/p1など

*1:活動の履歴についてはhttp://jprl.org/live.htmlを参考にしてください

*2:残響レーベルのイベントとは同名異イベントです。名前だけは僕らが先(笑)

*3:現在入手可能かよくわからん