図書館で借りたり

音楽のことを研究しながらも、非常に貧困な音楽生活を送っております。基本的に最近はニコニコ動画での聴取がもっぱらとなっていることは、ポピュラー音楽学徒しては正しいような気もしますが、人間的にどうかと思います。それでもまったく商業ベースのものから外れて音楽を交流する姿をああいう風に見られると、これが最強の「インディーズ」音楽の理想だと感じてしまうのもやまやまです。まさにサブカル涙目で、オタクの音楽的精力に圧倒されます。僕が今、中学生だったらバンドを組むよりも、ニコニコでMAD作りしているでしょう。あと恋人に付き合いカラオケなるものに数年ぶりに行ったのですが、一般人との音楽聴取の差異をまざまざと感じられました。まずもってカラオケで歌えるほどに一つの音楽を聞き込むことはないです。さらに、メロディーというものにそこまで傾聴いたしません。歌が下手なだけだというのは秘密で。あと初音ミクにはみっくみくにされてます。音楽製作において人の声を扱えるのは、結構大きな変化だと思います。なんにしろ日本の声優文化は聴覚文化研究として一考に価するのは間違いないです。
ともあれ、そんな貧困な音楽生活から気に入ったものをいくつか。
ライヴ
ミート・パペッツ
B00005FZIO

ミート・パッペツの88年のライブです。ニルヴァーナがカヴァーしたことでも有名なんで名前を知っていたのですが、手を出すのは初めてでした。ライコから出ていることもあり、気に入ることは確実とは思いきや、自分が気に入るものは後回しにする癖があって。なんというかメタルとハードコアを聴いて育った人がやるアメリカン・トラッドですね、これは。既に誰もそういう文脈で省みることはないですが、USオルタナと呼ばれた一連の音楽の特徴はそのルーツミュージック志向にあると思うのです。基本としては80年代を通してアメリカはパンク・ハードコア/メタルの二大ロックサブジャンルの境界線が曖昧になって、60年代ロックのイデオロギーを巧妙に避けることによって、他のルーツミュージックの良さを再評価した結果、90年代USオルタナの豊穣さがあると思います。ベックからニルヴァーナまでにフォークの影響も見えますし、もちろんカントリーの影響もオルタナ・カントリーと呼ばれるまでにあるし、ヨラ・テンゴやケイクのようなマニアックさを持ったバンドにはUSルーツミュージックとしてのディスコの影響さえ感じます。重要なことは、いかに60年代のロックに原点回帰をすることなく、ロックとしての正統性と革新性を得るかが戦略として重要なことです。レニクラなんかがオルタナとは違う意味で売れてしまうのもそこら辺の関係でしょう。
ラーゴ
ブラッド・メルドー ラリー・グレナディア ホルヘ・ロッシィ
B000065EMC

ブラッド・メルドーは現代のジャズ・ピアノでかなり好きなのですが、これは節操がないです。というか、レディオヘッドの楽曲の他ジャンルへの普及の広さを褒めるべきかもしれないが、「パラノイド・アンドロイド」をやってます。原曲が複雑なだけに、ジャズというよりも結構まともに弾いている感じがして、これが弾きたかったんだろうなって思わせます。さらにドラムンベースみたいな曲があったり、ジョビンの「ウェイブ」をヴァイブで演奏してたり、ビートルズをやったり。