寺へ

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このイベントの日曜日の方に行ってきた。
最近、お寺がこういう何らかのイベントを開くのが流行ってて、宗教に対して若干懐疑的なオレはそれを良いことだというのをいつもためらってしまう。まあ、そういう難しい話を抜きにすると、これは良いイベントだった。白金にあるお寺はお寺というには立派過ぎるんで、もっとこういう形に使わせてもらいたいものだ。
ちゃんと見たのはテニスコーツnhhmbaseGELLERS
テニスコーツは機材のトラブルとかで最初はかなりぎこちなかった。まあ寺のお堂でやるってのは普通、経験ないだろうし、PAの人たちも大変だろう。後半はノッてきて歌が非常にきれいに響いてた。
nhhmbaseはかなり良かった。実は彼らをまだちゃんとしたライブハウスで聞いたことがないんだけど、基本的に楽器に余計な音色を付け加えず、ドラムセットもワンタム、ワンクラッシュという超シンプルスタイルな彼らの演奏は場所を選ばない。エフェクターもベースのファズとリードギターのラットだけだ。基本的にエモと呼ばれる音楽性の延長に彼らがいるのは確実だが、誤解を招きそうな言い方だが、彼らの音楽はエモーショナルにもかかわらず、絶対音楽的だと思う。通常、音楽の感情的な側面は和性が担っていることがほとんどだけど、彼らのシンプルな和性構造(というか場合によっては曲のほとんどの部分が単音で構成されている)はそのような意味での感情性を喚起することは殆どない。ではnhhmbaseの音楽のどこかエモーショナルなのか?それは変拍子や奇数小節を多用しているリズム構造と音の強弱に他ならない。それに加えて、まさにセッションを楽しんでいるかのような、演奏でのパフォーマンスが彼らのエモーショナルな部分を喚起している。ただし、そこにある感情は、悲しいとか楽しいとか具体的な種類を持ったものではなく、ひたすら強度だけを主張するようなものだ。エモと呼ばれるような音楽の方向性を余計なものを殺ぎ落とすことで純化していると言える。
GELLERSは昨今脚光を浴びているトクマルシューゴが所属するバンド。ガレージかつサイケデリックで、トクマルシューゴを含む三名がボーカルを取るあたりは、ビーチボーイズ的な雰囲気は思いっきり異化した、初期のフレーミング・リップスあたりを髣髴させる。というか、自分と同時代の音楽の好みを一身に体現している彼らの音楽を、なんというか距離をとって聞くことができなかった。端的にいって、90年代USのロックの雰囲気をもろに感じさせる。ペイヴメントとクラッシュのカヴァーとかしてたってのも良く分かる。
気に入ったのでCDも買ってしまって後で家で聞いたけど、ライブとすこし趣がちがっていて、ガレージな雰囲気よりも宅緑的な編集の味が強く、よりペイヴメントあたりのローファイ色が強い。でも、歌詞などを見ながら聞いていると、ハッピイエンド的な雰囲気(とくにトクマルシューゴがボーカルを取る曲)も強く、ライブとはまた違ったよさもあった。
今年のフジロックのルーキーステージに出演することが決定しているらしい。相変わらず、フジのルーキーステージってのは全然ルーキーじゃないインディーの大物が出るなーって思う次第(というのも昔、自分のバンドで挑戦しようと思ったけど、デモを送るまでもなくオレのバンドのような出る幕ではない…)。
とにかく、リアルタイムの良い音楽を聴けてよかった。勉強でこもりっきりの良い気分転換だった。