実家で読んだの。

日記を書くのが後手後手に回っている。いろいろとあって忙しいのだ。表面的には忙しくなさそうだけど、常に頭の中はビジーな状態だ。
科学哲学の冒険―サイエンスの目的と方法をさぐる
戸田山 和久
4140910224

Y氏に借りたものだが、親父の本棚にもあった。
これかなり良い入門書だと思う。思うに良い入門書の条件とは、

  1. その学問のおおよその全体像が見渡せること
  2. 平易な言葉で書かれてること
  3. 知的好奇心が書き立てること
  4. 著者の立場がはっきりしてること

おそらく1〜3は誰でもうなずけることだと思うけど、意外に重要なのは4である。著者の立場が不明確ですべての議論や立場に客観的、中立的な入門書は読んでいてもつまらないし、その学問独特の楽しさや意味が伝わらないと思われる。
その意味ではこの本は著者が認めているとおり、入門書でありながら著者の立場をかなりはっきりと固めている。それは自然主義的科学実在論と呼ばれる立場なのだが、ごく簡単にいうと科学に対して一般的にもっている常識的な立場とほとんど同じ、帰納法は正しいとか電子は存在するとかいった考え方だ。この立場は哲学に不慣れな人にはわかりにくいが、結構主張するのが大変な立場なのだが、この著者は「意味論的捉え方」という方法によって、このある意味で常識的な立場(哲学の内部では決して常識的な立場ではないのだ)を擁護するのである。この「意味論的捉え方」ってのは初めはピンとこなかったのであるが、最近メタ倫理のことや美学のことを考えるにつけ、これは使えるかもって思ってきた。そのことはまた今度書く。

もてない男―恋愛論を超えて
小谷野 敦
4480057862

続いてはこちら。すでに非モテ、弱者男性議論の基本図書となっているだろう(笑)小谷野先生のもてない男。すんません、今まで読んでなかったです。
読み物としてはかなり面白かったし、それなりに小谷野先生が言うところの弱者男性の問題とかはまあそれなりにわかった。ただこれはやはり政治的な議論じゃなくて、文学的な議論なんであろう。
今回の帰省で思ったのは、親父の本棚は結構すげー。侮れない。とりあえず話題の人文書は大体あるからな。そこまでして買って読むのかい!って思うけど。以前、立岩真也の『私的所有論』を実家から持ち出そうとおもったら駄目!って言われたけど、ほんとに読むんかい!