ようやく読んだ

芸術の条件―近代美学の境界
小田部 胤久
4130802054

読了。
小田部先生の本はタイトルも王道すぎて名前がわかんなくなるし、東大出版会だし、高いし、世間一般の目を浴びる事が無さすぎる。もうちょっとキャッチーさを出してもいいけど、まあこのなんというか真面目実直な感じが小田部先生らしいともかんじるけど(笑)
でもこの『芸術の条件』とともに前著『芸術の逆説』は他の領域の人にも読んで欲しいくらいにアクチュアリーな話のネタがいっぱいなのだ。
本書は近代の美学の確立をその外側の視点、「所有」、「先入見」、「国家」といった概念により描く試みであるけど、全体としてはまだ良い意味では未完な気がする。それでもまあ「所有」を扱った1章は昨今問題になる著作権に関する美学的な基礎付けを理解するための基礎的な文献といってもいいぐらいアクチュアリーなのだ。
自分の批評の研究には「先入見」や「歴史」といった章は様々なヒントとなるので、また今度詳しく書く。