勉強と全く関係の無い読書

寝酒のつまみに色川武大などを読んだりしている。実家にあったちくま日本文学全集のやつ。
阿佐田哲也麻雀放浪記を立ち読みした程度で、色川は全く読んだことなかったけど、非常に良い。酒のせいもあるが感動した気がした。
怪しい来客簿
色川 武大
4167296047

これに入っている「たすけておくれ」という自らの闘病を綴った随筆が非常に泣けた。闘病といってもやたらとドラマチックな文章ではなく、淡々と自らに起こったことを客観的に書いている感じであるが、色川の(駄目な)人間に対する愛情というか諦念のような感覚がとても心地よい。
積年の不摂生から色川は胆石で肝臓を患う。そして知り合いから紹介された若い「名医」に診てもらい一度目の手術を行うのだが、見事に失敗するのである。若い「名医」は「名医」だけになかなか失敗を認めない。結局、別の大学病院に行くはめになり「どうして、こんなになるまで放っておいたのだろう」といわれるが、色川は全く「名医」を恨むことなしに次のように言い放つのだ。
「それでこそ私の名医である。仰々しくいえば、私は命を賭けて友人を得ようとしているかのようであった。」
さすがである。さすがとしか言いようがない。