さよなら、千駄木


昨日、旧居を引き払った。空っぽになった部屋を見るのはそれなりに寂しいことである。大家さんに挨拶してから日暮里駅へと向かい谷中銀座を歩いた。
約2年半ここに住んだ。それ以前は小石川の寮にいたのだが、寮の管理のババアとジジイともめてでてきたのだ。せっかくだからその前からちょくちょく自転車でブラついて気に入っていた谷中あたりに住もうと思ったのだ。
初めていったのはただの偶然であったが、どこか金沢の寺町に似た谷中の山の上や、これぞ日本と思わせるような商店街が気に入った。というかそれまで俺は日本という生活を知らなかった気がするし、これは以前も書いたが東京にしか「日本」と呼べるライフスタイルはない気がする。
まあともかく気に入った土地であったし、大家さんもめちゃくちゃ親切にしてくれたので楽しかった。せっかくなので旧居の周辺で俺がよくいっていた店を10くらいリストアップしておこう。

ちょうど引越してきた頃にできた根津のお店。俺の中でベスト・オブ・ザ・街カフェの名をほしいままにしている。快適なインテリアとおいしいコーヒー、いい音楽、そして洒落たマスター。すばらしくおしゃれながらも根津の雰囲気にマッチする稀有な存在だ。

  • 根津公平堂

根津の生活骨董&古道具屋。家族で経営しているアットホームな店である。公平堂というだけに値段は極めて良心的。俺は古い扇風機と桐箪笥などを買った。何も買わずに世間話してお茶だけいただいてくることもしばしば

ちょうどできて一年くらいたった蛇道にあるあづさんがやっている小さなオリジナル洋品店。基本レディースなのでほとんど何も買わずに世間話しにおとづれることしばしば。迷惑な客だ。もっと頑張って女の子を連れて行って還元しなければならない。クーネルに以前載ったので、そういうのが好きな人にはお勧め。

  • レインボーキッチン

団子坂の途中にあるハンバーガー屋さん。最近脚光を浴びるようになった豪華系のハンバーガーだ。ここのコーヒーも大きくておいしいので、よくランチセットに+100円でコーヒーをつけて勉強したり本を読んだりした。

谷中にある輸入雑貨屋。東欧系のものとかが置いてあったりしてたのしい。女子には古いプラスチックのアクセサリーなどがお勧め。以前カフスボタンを買った。
−毛家麺店
不忍通りにある小さなラーメン?屋。俺はほとんどチャー飯しか食べないが、メインは坦坦麺。辛いというよりスパイシーな東南アジアちっくな坦坦麺である。それ以外の餃子とか韮饅頭とかもうまい。もっと大きなお店になってくれたらよいのに。

夕焼けだんだんの上にある中華定食屋。定食といっても、ここのスタイルは独特で卵チャーハンの上に様々なものが上に乗っかったご飯とスープ、デザートという構成。そのコストパフォーマンスから良く一人で食べにいった。なぜかR&Bがかかってることが多い気がする。

  • 古書ほうろう

不忍通りにあるビート系などの本とかが多い、濃いかんじの古本屋。かける音楽もマニアックでアイラーとかアフリカの民族音楽とかロバート・ワイアットとか、そのつまりスピリチュアル系。いわゆる国分寺のかほりってやつがする店なのだが、この千駄木の下町にいい按配の知性を彩ってるといえる。

本郷周辺に展開するカレー&ティーのお店。日暮里店はメニューは少ないが一番開放感があって、晴れの日とかにいくと気分がよい。メニューが豊富な方がよいなら不忍通りにあるお店に行くと良い。

  • はしご

谷中銀座にある坦坦麺専門店。ゴマが濃くて辛い過激な坦坦麺ではなく、その対極にある上品な坦坦麺である。しょうゆベースのスープにすりゴマ、マー油、隠し味に柚子をきかせ、麺は絹糸のようなツルツルとした細麺。サービスで出される白米もうまい。なんだかんだいって一番通ったラーメン屋。
どれも常連として顔が知れた店だが、久しぶりに訪ねていっても覚えててくれるだろうか。
住みだしたころとに比べ、谷根千知名度は上がり、マンションもたくさん立ち、街の回転も速くなったので、気がつけば無くなっていたということにも成りかねないかもしれない。そうはならないようにこれからも足繁く通おうか。