生協の安売りでゲットした

を読了。なんだかな〜
ってか「時代研究」ってこういう方法でするもんなの?「これは時代に浸る本ではない。時代をきちんと「知る」ための本である。」と冒頭でいってるのだが、僕にはやはり「時代に浸ってる」としか思えない。
回想録のような文体で60年代の音楽から、ビート文学、ハリウッド映画などをニューエイジ思想っぽい*1「時の地層図」図式で分析する。いわく、太古の昔から近代を経て、60年代に至るまで人間はこの「時の地層図」の最古層「自然(Ⅴ)」から「文化(Ⅳ)」、「個人(Ⅲ)」、「気分(Ⅱ)」と積み上げてきた。ロマン主義的な芸術が「個人(Ⅲ)」の噴出で、60年代のサイケデリックな現象は「気分(Ⅱ)」が時の表層に飛び出たことというわけだ。
しかし、なんだろうこの社会進化論みたいな図式は。筆者は近代的な個人による「直立精神」(立身出世主義みたいなもの)が崩れ、60年代にあらゆる主義を拒絶する「ヒップ」という態度が誕生したことを主張する。しかし、このような仕方の卓越化戦略みたいなものはおそらくどの時代にもあるもので、ちょうどブルデューの『芸術の規則』に出てくるフローベールと同じである。
ほかにも納得いかんとこはたくさんあるが、ともかく60年代というものを「大きな精神変革」の時代として語りたいのであれば、もっと別の方法があるのではないかと思う限り。

*1:たぶんベイトソンとかの援用らしいけど良くしりません