文化産業って?

昨日の読書会、DAVID HESMONDHALGH『The Cultural Industories』の序を読む。序だけに何で文化産業を研究するか?とか定義などが述べられる。
僕も使えると思ったのは文化産業の8の特徴の項目。せっかくだから引用しとく、

  1. リスキーなビジネス
  2. 生産コストの高さ、複製コストの低さ
  3. 準公共財的性格
  4. レパートリー形成によってミスをヒットで埋め合わせる
  5. 集中、統合、パブリシティの吸収
  6. 人為的な希少性の付加
  7. スター、ジャンル、シリーズなどによるフォーマット化
  8. シンボル・クリエーター(意味生産者?)の緩やかなコントロール、配給・マーケティングのタイトなコントロール

といったもの。訳はレジュメを作ってくださった細川さんのもの。
ここらへんでアラタさんからクリティカルな批判「このような特徴はアドルノの文化産業論に引きづられ、音楽産業などの特徴を自明視し、他の産業に投影しているのではないか?」といったものがでる。確かにそんな気も一瞬したが、高度に産業化した(つまり金が儲かる)文化の文化産業においてはこの特徴はあてはまるのではないでしょうか。その意味では、へスモンダールが周縁と呼んだスポーツや絵画や彫刻のファイン・アートもこの特徴を持つ気がします。スターシステムなんかも当然あるし、希少性の付加とかもあるし、村上隆がやってることなんてまさしく現代アートの文化産業化であると言える。そういったことでもこの特徴は使えると思います。
まあなんにしろ文化産業って言葉は一般的じゃないし、僕もどうやらアドルノによって馴染まされた言葉であるのは事実のようですが。