• 斎藤純一『公共性―思考のフロンティア』岩波書店、2000

このところアレントとか読んでたことから、参考として。
このシリーズ、概念でまとめてあって非常に良いのだが、高いんだよね値段。だから図書館で借りた。
内容は「公共性」に関る政治哲学思想の程よいまとめになっていて、それを日本の「公共性」論の背景として説明してくれるあたりはとてもわかりやすく掴めた。
気になった点として、アレントなどが度々その政治思想のなかで「共約不可能なものを共約可能なものに回収せずに判断する」ために「美」という言葉で説明するあたり。やはりカントの影響があるのだが、美学の学生の端くれの俺にとって、政治哲学の分野で『判断力批判』が重要な位置を占めていることに驚きを感じちゃった。
現代においてそのような価値に「美」とかいう言葉を用いることが可能だとはとても思えないのだが、佐々木健一先生の最終講義で話してた「作られた世界に対する満足感」としての「美」とかはそこらへんに関係するんだろうか。